試してフシギ

耐震と制震揺れにのこった!のこった!(No.175)

揺れにのこった!のこった! 揺れにのこった!のこった!

実験監修:東海大学教育開発研究所教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

紙でつくった四角い枠を左右に動かすと、大きく揺れます。少し細工をすると、同じ形の枠なのに揺れ方が変わります。2種類の細工を試してみましょう。

そうなんだ!

建物を地震から守るためには、
建物を強くする方法(耐震)や、揺れを弱める方法(制震)があります。
枠の対角線に筋交いを入れると、枠が補強されて変形しにくく
なります〈A〉。この筋交いは古くから使われてきた耐震構造の代表です。
一方、枠の天井から振り子をぶら下げると、制震構造になります〈B〉。
枠を揺らすと、振り子と枠の揺れるタイミングがずれてきます。
このずれが互いの揺れを打ち消し合って、揺れを弱めるのです。

1. 画用紙程度の厚さの紙(B4以上)1枚
2. 段ボールなどの丈夫な厚紙(A4程度)1枚
3. ゼムクリップ 1個

・定規
・鉛筆
・カッターナイフ
・のり

実験で使用した材料の詳細

・画用紙:大創産業 色画用紙ひまわり(8枚入)
・厚紙:大創産業 厚紙A4用 両面白色(8枚入)
・ゼムクリップ:アスクル ゼムクリップ 29mm 大

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    図の寸法に紙を切り、点線の位置で折ります。

  • 2

    厚紙に約5cm間隔でAをはりつけ、
    同じ枠を3つ並べます。

  • 3

    B(筋交い)をまん中の枠にはりつけます。

  • 4

    C(振り子)を手前の枠の天井中央にはりつけ、
    下部をゼムクリップではさみます。

  • 5

    台を左右に動かして枠の揺れ方を観察します。

実験を成功させるコツとヒント

・台の動かし方に少しコツがあります。動きがゆっくりすぎると枠の動きと振り子の動きが同じになり、揺れを打ち消すことができません。うまくいかないときは、動かし方を少し速めてみましょう。

五重塔は日本古来の制震建築

寺院の五重塔には、日本古来の建築技法による制震構造を備えたものが多くあります。世界最古の木造建築物である法隆寺(奈良県)の五重塔は、塔の中心の柱である「心柱(しんばしら)」が塔の先端だけに固定されており、制震構造の振り子の役目を果たしていると言われています。この発想は、東京スカイツリーにも応用されています。地震国日本ならではの先人の知恵ですね。

研究が進むさまざまな制震技術

東京スカイツリーの制震システムは、振り子を逆にした形です。五重塔の心柱にあたる「階段室」を下部ではタワー本体と固定し、上部では自由に動くようにして揺れを吸収します。そのほかの制震技術では、建物の上部に自由に動く大きなオモリを乗せたもの、ダンパーと呼ばれる部材で上下の階や壁面をゆるやかにつなぐもの、複数の建物をダンパーで連結して揺れを打ち消し合うものなどがあります。さらに、コンピューター制御によって装置を動かし、効果的に揺れを吸収するアクティブ制震と呼ばれる技術も、近年多くの建物で使われるようになってきました。

3つの方法で効果的な地震対策を

制震、耐震とならんで、地震から建物を守る方法に免震があります。免震構造は地震の揺れを建物に伝わりにくくする技術です。水や空気で建物を浮かしたり、ゴムや金属球で揺れを吸収するものなどが開発されています。制震、耐震、免震を組み合わせることで、より大きな効果が期待できます。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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